Creative Blog

AfterEffectsと静止画素材で作る鮪釣りアニメーション

お子様向けのイベントで使用する魚釣り動画の制作依頼を頂きました。
営利目的ではないため限られた予算で、どれだけのワクワク体験をお子さんたちや親御さんに与えられるかが課題となりました。
今回の記事では、当初のプランニング、制作の過程、クライアントのご要望にどうお応えしてブラッシュアップしていったのか、最終的にどう活用されたかをお伝えします。

企画立案フェーズ

弊社ディレクターから「マグロを釣る3D動画を作って欲しい」という依頼が飛び込んできました。
案件は、ファミリーイベントで使用する動画で、お子さんたちと親御さんがターゲット。
海の映像をプロジェクタでスクリーンに映写し、スクリーン下部ではスタッフがブルーシートに隠れ、お子さんたちが投げた釣り竿にお菓子をくっつけていく。
最終的にはラスボスのマグロが現れ、みんなで釣り上げるべく一致団結してマグロ(ブルーシート裏のスタッフ)と戦う。
マグロを釣り上げるとスクリーンが上がっていき、そこには本物のマグロと寿司職人がマグロを大盤振る舞い・・・
という素晴らしいストーリーがクライアントから送られてきました。

そこにコピーライティングのスキルを持つ社内ディレクターが、絵コンテや脚本を仕上げていき、ストーリーを細部まで構築していきました。
そのストーリーをどう映像化するかが腕の見せ所となります。

3Dアニメーション?それとも2D?

社内ディレクターの「3DCGで作れますか?」という問いに対して「作れるけど予算跳ね上がりますよ」と返答しました。
今やハイエンドCGソフトを使わずとも、BlenderやUnreal Engineを活用すれば誰でも3Dが作れる時代。
とはいえ、3D制作にはビデオカードやストレージにそれなりの設備が必要ですし、モデリングやレンダリングと数倍の工数が必要になります。
当初はUE5でリアルタイムにマグロや他の魚をジョイスティックなどで操作できるように、とも考えましたが、やはりスケジュールと予算で断念しました。

そこで、最適なリソース活用の方法として、Adobe「After Effects」とストック写真の切り抜きを使い、生き生きとしたアニメーションを作成することにしました。

初校提出とすり合わせ

当初、お子さんたちが集まってくる間のシーンは横スクロールにし、フィッシングタイムは、よくある釣りゲーのような視点で水面を見るように作成しました。
AfterEffectsの3Dレイヤーを使用して擬似3Dで魚を表現したものの、平面的に見えてしまい、なかなかリアルに表現することが難しかったです。
フィッシュオン時のエフェクトは、Element 3Dというプラグインを使用しました。

プレビューの結果、上記の動画では釣りゲー的な雰囲気がイベント全体のコンセプトやテイストにそぐわないというご指摘をいただきました。
例えていうなら、某テーマパークのようなファンタジックな雰囲気をもっと反映させたいとのこと。
そのご要望に沿って再度修正をして行きます。
たとえば、釣れた時の演出は、パステルな泡をAfterEffects標準プラグインで出現させました。

最終納品物

納品映像(ダイジェスト版)

最終版動画は「迫力がある」とクライアント担当者様にもとても喜んでいただけました。

まとめ:大人も子どももワクワクする体験へ

イベント本番では、画面とシンクロした釣り竿の動きやマグロの登場に、お子さんたちだけでなく大人も大興奮!
上記の動画の最後で「えー!?ウソでしょ!?」と感嘆の叫びを上げておられる大人の一言に集約されているのではないでしょうか。

人力と動画のコラボレーション、アナログとデジタルの融合が印象的なこのマグロ釣りイベント。
マグロ出現や釣りのためのタイミングを動画に合わせるため、ご担当者の皆さんは当日まで何時間もリハをしてくださったとのこと。
そのおかげで、マグロ釣りイベントは大成功に終わりました。

今の子どもたちは生まれた時からPCやガジェット、3Dゲームに囲まれて慣れ親しんできているので、「子どもだまし」と思われないか多少の不安もありました。
予算と時間が潤沢なら、釣竿の動きに合わせて3Dでリアルタイムに魚が動いたり、なんてアトラクションも作れたかもしれませんが、今回は擬似3D、かつ尺が決められた動画です。
しかし上記の動画をご覧いただくと雰囲気が伝わると思いますが、お子さんたちがおよそ12分に及ぶイベントを飽きることなく終始楽しんでくれたのが印象的でした!(12分って、お子さんにとっては集中力を要する長丁場ですよね・・・)

筆者には子どもがいないので、どうしたら小さいお子さんたちがワクワクするような動画が作れるかを自らの経験則を思い出して作りました。
いい大人になっても心はいつまでも少年少女。小学校の時初めて遊んだファミコン、ゲームセンターでの横スクロールゲームで遊んだワクワクを思い出しつつ、今の子どもたちの時代背景やテクノロジーの変遷も考える。このプロセスがとても役立ちました。

株式会社ピースでは、ご予算やリソースに応じてクライアントの課題を解決するべく、さまざまなアイディアを形にしてご提案いたします。とりわけ弊社では、親子向けにクリエイティブとテクノロジーを融合させたイベントやコンテンツ制作において、多くの実績があります。
イベントで使用する動画制作だけでなく、企画や什器、コンテンツ制作全般もぜひ弊社にご相談ください。

お問い合わせ・お仕事のご相談はこちら

クライアント・取材協力

株式会社アドウェイズ様

 

達富 聖仁

MASAHITO TATSUTOMI

モーションディレクター

1980年生まれ。幼少期よりポストプロダクションで動画編集マンだった父の影響で映像に興味を持つ。最も影響を受けた映画は中学生の時に観た「ジュラシック・パーク」。その後インターネット黎明期にウェブに興味を持ち、就職し独立。現在は株式会社ピースにて動画や静止画の撮影・編集の仕事を行なっている。