3人の新しいメンバーがつくる 「PEACE POSTER BIENNALE」
4月に入社した3名の新しいメンバーたちが作り上げた、 「PEACE POSTER BIENNALE」。
コンセプトを考え、それをビジュアルへと変換し、一枚のポスターとして定着させる。
自分で問いを立て、考え、手を動かしながら、自分なりの表現を探っていく。そのための場として、3ヶ月にわたるポスター制作をスタートしました。
完成したポスターはもちろん、そこに至るまでに何を考え、何を選び、どう形にしていったのか。
今回は、そのプロセスをご紹介します。
自分の部屋に飾りたいものをつくる
制作にあたって設定したのは、ひとつだけ。
「自分の部屋に飾りたいポスターをつくる」こと。
テーマも表現も自由です。
ただ、自由であることと、好きなものを好きなようにつくることは、少し違います。
ポスターである以上、そこには「何を伝えるのか」があり、それが見る人に伝わる必要がある。そして同時に、自分の部屋に飾りたいと思えるだけの審美性も必要です。
隔週でアイデア帳を持ち寄り、「何を伝えたいのか」「この表現で本当に伝わるのか」「ポスターとして機能しているのか」を3ヶ月にわたって対話していきました。
表現やアイデアそのものを会社から提案することはしません。
第三者の視点を加えることで、自分のアイデアを一度客観的に捉え直す。そして、また考え、手を動かす。その往復を重ねながら、それぞれが自分なりの答えを探していきます。
デザイナーにとって「カッコいい」という感覚は、もちろん大切です。
ただ、その感覚だけを一人歩きさせるのではなく、なぜこの表現なのか。何を伝えるためのデザインなのか。
ポスターというシンプルな媒体だからこそ、デザインの根本にある問いと向き合う時間になりました。
自由につくることで見えてくるもの
同じ条件からスタートしても、制作の進み方は3人ともまったく異なりました。
やりたいことが次々と変わっていく。
やりたいことは決まっているのに、なかなか形にならない。
自分がやりたいことのはずなのに、いつの間にか難しく考えすぎてしまう。
正解が用意されていないからこそ、それぞれの思考の癖が、普段以上にはっきりと現れます。
そこで改めて見えてきたのが、日頃のインプットとアウトプットの大切さでした。
アイデアは、頭の中だけで考え続けていても、なかなか輪郭を持ちません。
一度外に出してみる。手を動かし、目で見て、違和感があれば戻る。そして、また試す。
その反復によってアイデアの解像度が上がっていくと同時に、自分が何に惹かれ、何を選び、どう考えるのかも少しずつ見えてきます。
一枚のポスターをつくることが、自分自身の思考と表現を研究することにもつながっていきました。
画面の中のデザインを、B1の実物へ
もうひとつ、この取り組みで大切にしたのが、実際に印刷することです。
日々の制作ではPCの画面と向き合う時間が長く、自分がつくったものを大きな実寸で見る機会は、意外と多くありません。
今回はB1サイズでの出力を前提に、紙の選定から印刷技法まで、それぞれが自分の表現に適した方法を考えました。
画面の中にあったデザインが、B1という物理的な大きさを持った瞬間、印象は大きく変わります。
文字のサイズ、余白、色、ビジュアルの密度。
画面ではちょうどよく見えていたものが、実寸では想像以上に強く感じられることもあれば、その逆もあります。さらに紙の質感や印刷方法によって、同じデザインでも表情は変わっていきます。
デザインは、画面の中だけで完結するものではありません。
紙を選び、印刷方法を考え、最終的なアウトプットを自分の目で確かめる。
画面から実物へ。その間に生まれるギャップまで含めて体感することも、この取り組みの大切な目的のひとつでした。
たった3人から始まる、PEACE POSTER BIENNALE
こうして完成した3枚のポスターを、社内に展示しました。
参加者は、たった3人。
それでも、自らテーマを設定し、3ヶ月にわたって考え、試し、選択し、最後は紙と印刷まで向き合って一枚を完成させた。そのプロセスに注いだ熱量は、人数の多さとは関係ありません。
ならば、単なる社内のポスター制作で終わらせるのではなく、ひとつの展覧会として名前をつけよう。
そして、2年に一度続いていくものにしよう。
そんな意気込みを込めて、**「PEACE POSTER BIENNALE」**と名付けました。
3ヶ月にわたって対話を重ねたことで、会社にとっても、普段の仕事だけでは見えにくい3人それぞれの個性を知る機会になりました。
何に興味を持つのか。何を得意とするのか。どこで迷い、どう考え、どう答えを見つけていくのか。
完成した3枚のポスターには、そうした一人ひとりの違いが自然と表れています。
それぞれが自分自身の思考や表現と向き合ったこの3ヶ月は、これからの仕事にもつながるひとつの経験になったのではないかと思います。
次回の開催は、2年後。
そのときには参加するメンバーも増え、並ぶポスターも、また違った景色になっているかもしれません。
一度きりの取り組みで終わらせるのではなく、自分で問いを立て、考え、つくり、表現を研究する場として。
「PEACE POSTER BIENNALE」がPEACEに根付き、これからのクリエイターカルチャーのひとつとして育っていくことを願っています。