これまで様々な印刷を試してきた中で、課題に対してしっかり適している印刷や、コンセプトをより表現できる印刷をクライアントに提案するよう意識しています。

広告業界全体がリアル媒体からデジタルコンテンツに移り、印刷の需要が減少していると言われている中ですが、印刷業界もまたそれに合わせて、新しい印刷技術や紙の開発を進め、オフセット印刷のようなリアルオンデマンド印刷、ユーザーに合わせて表紙だけを変えて大量に印刷できるバリアブル印刷など、質も費用も3年前では考えられない進歩を遂げています。

少し前になりますが、新しい印刷技術、新しい紙やインキなどと逆行するかのような展示会が、埼玉県立近代美術館で開かれていたので行ってきました。

@版画の景色_現代版画センターの軌跡

版画の景色_現代版画センターの軌跡

埼玉県立近代美術館
The Museum of Modern Art, Saitama
JR京浜東北線 北浦和駅西口より徒歩3分
JR東京駅、新宿駅から北浦和駅まで、それぞれ約35分
開館時間:10:00〜17:30
(展示室への入場は17:00まで)
資料閲覧室(3階)は13:00~17:30

「現代版画センター」(1974-85)

同センターは10年あまりの活動の中で、およそ80人におよぶ美術家と協力して700点を超える作品を次々に世に送り出し、同時代の美術の一角を牽引したことで知られています。

企画展示室の入り口にあった1974年から1985年までの現代版画センターの活動を記した年表の迫力がすごい!自分が生まれる前からの、版画センターの活動はとてもパワフルであって、時代を先取りした集団に思えました。

「版画」の定義=多くの人々が手にすることのできるメディア(印刷物全般)

版画というと木版画や銅版画を思い浮かべますが、版で絵を作る版画は実は印刷物全般の事を意味します。 アンディ・ウォーホールや草間彌生のシルクプリント、「描画」「製版」「刷り」の3工程にわかれるリトグラフ(石版画)、簡単に言ってしまうとそれを改良したオフセット印刷もまた版画なのです。

70・80年代のデザイン

展示を通して、限られた印刷技法や職人のような手技もさることながら、思考、表現の方法を大事にする姿勢がものすごく伝わってきました。コンセプチュアルアートの流れをくむものが多く、デザインというよりアートに近い印象でした。

その中で一番記憶に強く残っているのが、ジョナス・メカス展のポスター。 細かいものには適していないシルク印刷でありながら、大胆なレイアウトは今でも新しく感じます。